新しい同居スタイルへの変化
11月 5, 2012 — 20:16

日本的な伝統文化では、儒教的な思想背景もあって家族はできるだけ大勢で同居をするものという考え方がありました。
とはいえ、兄弟がいる場合には兄嫁とともに弟が生活をするのはなんとなく気まずいということもあり、家を継がない次男や女性は長男の結婚とともに家を出るということが、風習としてあったようにも思います。
数十年前には、この風習がマイナスとなり女性にとって結婚相手に長男を選んでしまうと単身で相手家族の中に入ってその習慣に従わないといけないという負担から、結婚するなら次男以降がよいとまで言われるほどになっていました。
時代は変わり、現在においては生まれた順番にかかわらず日本でも結婚や独立を機に家を出て一人暮らしを選ぶ若者が増えてきているようです。

ですが、近年の厳しい住宅事情もあり独立した生活を送りたいけれども一人では部屋を探して住むことが難しいという人もいます。
居住環境を改善するという目的で、行政や自治体が後押しして家族以外の人との同居を推進するような施策も人口の多い都市を中心にとられました。
当初は中高年以降の人を想定した施策だったようですが、実際に施設や制度を利用した人の内訳をみてみると、そのほとんどが若年層となる20代の若者でした。

さてそこで考えてもらいたいのが、日本の伝統的な同居習慣は本当に家族単位のものばかりであったかということです。
江戸時代にさかのぼってみると、江戸の城下町では「長屋」という独自の居住形態をする人たちが多く存在していました。
長屋とは今も時代劇などで多く登場していますが、同じ屋根を持った一つの平屋家屋を壁で複数に区切り、それぞれ自分に割り当てられた部屋内で生活を行うというものです。
台所役目をするかまどはそれぞれの部屋の玄関部にあたる土間についているものの、トイレや洗濯をするための井戸は建物裏手などに一つだけしかなく、同じ長屋に住む人達が共同で使っていました。
現代における若者や中高年の同居とは、いってみればこのような長屋における生活スタイルとかなり近いものがあると言えます。
江戸時代の長屋で直接生活したことのある人はもういないでしょうが、それでも脈々と日本人の心には同居形態の一つとして受け入れられる心理的土壌は受け継がれているのではないでしょうか。

参考サイト:シェアハウス・ゲストハウスの東京オークハウス

そういった、江戸時代からある形式の暮らし方だと考えると、比較的新しい言葉であるシェアハウスにも歴史を感じることができます。
江戸時代の長屋暮らしに思いをはせつつ利用してみるのもいいかもしれません。