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いろいろな用途があるスペース

「土間」は、たくさんの人にまだ馴染みのある用語ではないかと思います。
土間とは履物を履いて足を踏み入れることができる室内の部分のことで、今でも田舎の家では土間が生かされている住居も多いです。

昔の家は、住居の中で、靴を履いているところと靴を抜いて生活することこが分かれていました。
靴を履いたままのところの高さは地面と同じくらいですが、靴を脱ぐところは30cm以上高くなっていて、はっきりと分けられていたようです。

引き戸の玄関を開けるとまず土間があり、そこから上がってさらに住居スペースがあるというつくりになっていま。
土間の部分は三和土といった土で造られ、今でいうセメントのような質感でした。

土間の用途はさまざまですが、そのひとつに「履物を脱いだり履いたりするところ」であることが挙げられます。
玄関のたたきと同様の意味合いですね。

そのほか、昔は炊事場を土間に設けているところが多かったようです。
昔は現代のように電化製品が充実していないので、火を使って調理することがほとんどでした。
そのため、火災などで寝室や居間などが焼けてしまうことを防いだり、水で周りが汚れてもいいようにと、土間をキッチンスペースにしていたのでしょう。

また、お風呂場が土間のそばにある、という家もたくさんありました。
これも、風呂あがりに住居スペースが水浸しにならないよう効率的に配置されていたのではないかと思われます。

土間のメリット

土間をつくることのメリットは、前述したように火災が発生した際に、大切なものまで一緒に消失してしまうことを防げるほか、水仕事で住居を汚すことがないという点が挙げられます。

そのほかにも、土間と高く造られた床の部分がはっきりと分かれていることで、来客の際も土間までは入ってきても、床まで上がって来られることはない、というメリットもあったようです。
昔の家は居間のように玄関が凝ったつくりにはなっていなかったので、木の引き戸を開けたらすぐに住居になっていて、チャイムもないので木戸を叩いたり、開けたりして来訪を知らせていました。

そんなときに中に入ってきてしまっても、床と分かれていれば土間までしか足を踏み入れることはないので、ある程度のプライバシーを保つことができるというメリットもあったようです。

現代の住居では土間をつくっている家は少ないようですが、まれに昔と同じようなつくりではなくても、土間スペースを趣味で造っているという人もいます。

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