モンゴルの住宅の歴史

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広大な国土を移動する人々

日本の約4倍も広い国土を持つモンゴルは、ほとんどが高原で構成されている土地柄です。
高原の中で多くを占めるのが草原で、森林や砂漠が存在している場所もあります。
空気が乾燥しており、ほとんど雨が降らないという地域で気温差も大きい特徴があります。

モンゴルでは家畜を飼育しながら土地を渡り歩く遊牧生活を営む人も多いです。
季節によって家畜に適した場所が変わるので、その土地を求めて渡り歩きながら生活しています。
モンゴルの住宅の歴史を確認してみると、ゲルと呼ばれている移動式の住宅が昔から存在していることがわかります。

移動できる家の特徴

遊牧民は季節の変化と共に移動しながら生活するため、滞在中の住居も簡単に移動できるように解体と組み立てがしやすい構造になっているゲルと呼ばれる家が住まいになっています。
ゲルは床板以外の部材が250から300キロもあり、これらの部材を家畜の牛やラクダに運んでもらいながら移動していましたが、近年はトラックを使用して移動する遊牧民も多いです。
組み立てをする場合は2~3人で行い、2時間ほどで完成します。
再び移動する際には解体することになりますが、この時は早ければ1時間程度で終わります。

人が寝起きをする住まいとなるゲルは直径が4.5から6.5メートルほどの大きさになり、物置などに活用するゲルは直径5メートルほどです。
ゲルの入り口の正面には祭壇が設けられており、重要な場所として認識されています。
入り口から右側が女性、左側が男性が座る場所になると決まっていますが、子供の場合は男女を問わずに女性側の右側に座ることになります。
ただし近年はこのような決まりが風化しつつあるため、厳密に守っているゲルは減ってきているようです。

天井には円形の天窓であるトーノがあり、ウルフと呼ばれる布がかかっています。
朝になるとウルフをあけて日光を室内に取り入れて明るさを確保します。
トーノの下にはトーブが設置されており、トーノから煙突を外に出してストーブで暖をとります。
夏は30度近くまで気温が上がって暑いのですが、朝晩になると12度くらいまで気温が一気に下ることもあるので寒暖の差が激しいことから、夏でもストーブで暖をとることもあります。

寒さ対策

モンゴルでは冬になるとマイナス10度くらいまで気温が下がるため、ゲルで過ごす際にはしっかり寒さ対策を実践しなければいけません。
床には家畜の糞を敷いてからじゅうたんを何層か重ね、屋根にはフェルトを二重にしてかぶせ、壁にはフェルトを三重にして覆います。
場合によってはマイナス40度まで気温が下がる場合もあるため、さすがにゲルでは寒さをしのげない場合は木造やレンガで作られた住居で冬の寒い時期をやり過ごす人も増えています。

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