南イタリアの住宅の歴史

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とんがり屋根のカワイイ家

南イタリアのプーリア州にはとんがり屋根のカワイイ家がたくさん存在しています。
地中海気候の地域で、夏は気温が高くてあまり雨が降らないのですが、冬は暖かくて雨が降るという特徴があります。
周囲にはあまり山が存在しておらず、平野が広がる土地だったことから農業が盛んに営まれていた場所です。
この地域で育てられたオリーブはイタリアでも有名で、柑橘類なども多く育てられています。

プーリア州のアルベロベッロという地域にはトゥルッリというとんがり屋根の家がたくさん存在しています。
南イタリアの住宅の歴史でも特徴的なトゥルッリについてご紹介します。

世界遺産にも登録

トゥルッリは紀元前8世紀から作られていた家と言われており、歴史としてはかなり古いことがわかります。
しかし現存している家は当時のものではなく、16世紀以前のものは存在していません。
これは古い家を壊して新しい家を作るという流れを何度も繰り返しているためで、現状では少なくても16世紀以降のトゥルッリしか存在していないのです。
カワイイ屋根の家がたくさん並ぶ光景が美しいとして、1996年には世界遺産になっています。

トゥルッリの特徴

壁が真っ白で屋根はとんがって円錐型になっているという特徴があります。
材質は主に石灰岩で、この地域の地下に広がっている石灰岩層が材料として使われています。
石灰岩を切ったものを積み重ねて作られていますが、石と石の間にモルタルを使って繋ぎ合わせていないという特徴もあります。
とんがっている独特の屋根の頂上まで丁寧に積み重ねて作っているのです。

屋根の外側には薄い板のようになっている石灰岩で覆っています。
何層にも重ねて覆っていますが、これは雨漏りを防ぐための工夫の成果です。

理にかなった構造

トゥルッリの壁には石灰が塗られている特徴もあります。
真っ白の壁に仕上げられているのは景観の良さを目的にしたものではなく、紫外線を予防する効果や家の保温性を高めるという目的があります。
壁が厚いため外から光を取り入れにくいという特徴もあって内部は暗くなっていて、暑さを予防するために出入り口や窓が小さくてあまり多く存在していません。
それでも室内に入ると明るい印象を受けるのは内部にも石灰が塗られているためで、真っ白な空間が明るさを演出してくれます。

他の地域にも似た建物がある

地中海周辺にはトゥルッリにそっくりな建物が存在しています。
各地域の影響を受けながら現在の形になったと考えられていますが、元々はギリシア文明が栄えていたクレタ島から伝わったのではないかと言われています。
この説を裏付けるかのように、ギリシア語のドーム型で円形の建物という意味を持つ「トロス」がトゥルッリの語源になっているとされています。

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