寝室の変化と住居の関わり
11月 5, 2012 — 20:21

日本の伝統的な寝室の風景というと、押し入れから布団を出して敷いて眠り、朝起きたら布団をしまって生活をするというものでした。
この布団を使った眠り方の良い点は、生活空間を無駄なく使うことができるという点であり、少ない部屋数でも十分な生活ができるということです。
江戸時代などに一般的に行われていた長屋などでは、九尺二間という四畳半の狭い場所が生活空間として提供されていました。
玄関部分の土間には料理をするためのかまどや水瓶をおき、一段上がったところに敷かれた畳の上で、日常の生活を送るという生活スタイルです。

広い部屋を使うことが当たり前であったような西洋の人たちにとって、この布団を使った眠り方は相当珍しいもののようです。
部屋数が十分にとれる住宅であれば、食べる場所である「ダイニング」と、眠るための「寝室」、それに日常の行動を行うための「リビング」があるわけですが、長屋型の九畳二間の間取りでは、それらが狭い空間で一緒になっています。
日本における布団文化のお陰で、日本人は比較的狭い部屋で暮らすということについてそれほど抵抗がなく生活できているのかもしれません。

ですが、時代が変わり西洋的なフローリングの住宅が増えてきたことにより、日本人の伝統的な布団文化もだいぶ少なくなってきました。
ワンルームマンションという生活方式は相変わらず多くの場所にありますが、布団を上げ下げして床で寝るということは若い人を中心にあまり好まれず、6畳程度の広さのマンションでもあえて部屋の半分の面積を占めるベッドを置くということを選ぶ人も多くなったようです。
そのベッド属の増加にともない、ここ数年内に建築されるワンルームマンションの中には、ロフト部分として1.5階となる部分を設けるようにしたり、最初から折りたたみ式のベッドを備え付けてくれたりする物件もあります。
いずれにしろ、布団文化が衰退したことにより、部屋の使い方に対する意識の変化が見られるようになってきたということは言えるようです。

もう一つ、布団文化が衰退したことにより、押し入れという収納方法がなくなってきました。
日本古来の押し入れは真ん中に板を挟んだ上下2段に天袋という形状をしていました。
これが、洋風のクローゼットに変化したことにより、扉を一枚にした吹き抜け式の枕棚形式タイプの方がよく使われるようになりました。
また、布団を収納する押し入れは奥行きがかなり広いのですが、最近は部屋を広くして奥行きを少なくしたクローゼットの住宅も増えてきています。