マリ共和国にある土で作られた住宅

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土の文化

アフリカは、土の文化圏であり、ほとんどの建物は 土の日乾しレンガで建てられてきました。
土は最も安価な材料で、地球のほとんどの場所で入手可能で、保温性が高いので、雨量の少ない地域であれば、優れた建設材料となります。

しかし、石などとは違い、土は水に弱く放置すればひび割れ、最後は崩れ落ち大地に還ってしまいます。
かつてイスラーム帝国の首都として栄えたバグダッドの都でも、土の建物は放棄されれば、跡形もなく消え去っていきました。
アフリカの中で最も建築的に知られているマリでも、18世紀以前の古い建築文化は何も残っていません。

土のレンガの家

マリで古いスタイルの民家がよく残っているのは、ジェンネの街です。
北部アフリカとスーダン南部の交易の場所として栄えた街であり、土造の家としてはかなり装飾的を施しています。
ファサードに付け柱を並べて、入口上部と建物コーナーに角状の突起を出し、窓はしばしば木製の装飾多いフレームを嵌めこみます。
しかし壁面を彩ることは稀であり、タイルなどを貼ることもなく、あくまでも土のみで仕上げでます。

土の家は、海水浴で砂を盛り上げて作る城や宮殿に似ています。
定期的に土のプラスターを塗り直さないと、ひび割れて表面がはがれていきます。
ここは裕福な街であり、他の村々に行けば、半分大地に還ったような家が並んでいます。

土の家といっても、海水浴で砂の城を作るように土を盛っていくわけでなく、手で持って組み立てられるように日乾しレンガを作ります。
製法はごく簡単で、底の抜けた四角い木枠に、藁を混ぜて練った土を押し込み、木枠を抜いてレンガのように形作ります。
次に日光で乾かして乾燥させれば日乾しレンガが出来上がります。
これを火にかけて焼き入れすれば硬い焼成レンガになりますが、貴重な木材を燃料に使うので、特別な建物にしか用いません。
最近都市部ではコンクリートブロックの建物が増えてきましたが、その上に土のプラスターを塗れば、見た目は土造建築と区別がつきません。

雨が少ないので屋根を傾ける必要はなく、基本屋根はフラットです。
土壁は昼間蓄えた熱を夜になると室内に放射するので、住人は涼しい屋上で寝るのを好み、そのためにも平面な傾きのない屋根が求められます。
平面な屋根は、農作業にも使われ干草置き場になります。
しかし穀物倉は雨で崩れないように、藁でとんがり帽子のように簡易屋根を作ることが多いです。

陸屋根を架けるには、梁や母屋としての木材が必要です。
マリでは、これらが高価であっても土の住宅には欠かせない材料です。
このような木材は燃料として消費しないので、建物が壊れても柱などに使った木材は、別の建物に使うことができます。

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