韓国の住宅の歴史

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四季が存在している風土

日本は四季がはっきり分かれている国という特徴がありますが、日本から近い場所にある韓国も四季が存在している国です。
冬は寒くて空気が乾燥しやすくて雨が少ないという特徴があり、夜には放射冷却現象が起こりやすい特徴があります。
夏には気温が高くて雨も多く降るという気候で、日本とよく似ているなと感じる部分もあります。
季節によって気候が移り変わる風土に合った伝統的な家屋として知られているのが韓屋=ハノクと呼ばれる住居です。

歴史を感じさせる住宅

韓国の住宅の歴史は、かつて存在していた漢城=ハンソンと呼ばれた首都から始まります。
ハンソンは現在のソウルの中心部に存在していたと言われており、約500年にも渡って行政や経済の中心地として栄えました。
当時の王族や貴族達が住んでいたのが北村=ブクチョンと呼ばれる地域です。
この地域にはハノクが多く残されており、約600年ほど前の歴史を感じさせる住居を見ることができます。

ハノクは木造の建物で、瓦屋根が使われている特徴があります。
入り口から進むとマダンと呼ばれる中庭のような場所があり、それぞれの部屋にも通じているので、家にやって来た人はマダンを通ってから各部屋に行くことになります。
マダンに面してマルと呼ばれている床が高くなっている板の間があり、日本家屋の縁側のような印象を受けます。

暑い夏を快適に過ごすために活躍するのがマダンで、開放的な雰囲気と心地良い日差しを感じることができる空間になっています。
本来であればマダンは開放された空間ですが、現在はガラスの戸を設けて使用する場合が多くなっています。
現存しているハノクは1930年代頃に改築されたもので、その前に存在していたハノクと比較するとマダンも小さくなっています。

独自の床暖房システム

韓国の住宅には昔から温突=オンドルという床暖房が存在していました。
オンドルはかまどでたいている火を活用し、暖かくなった空気を床下にある煙道=ヨンドに送り込むことで床を暖める仕組みになっています。
せっかく暖められた空気を逃さないようにするために隙間のないように作った温突房=オンドルバンという部屋も存在しています。
オンドルはかつて存在していた高句麗がルーツだと言われています。

季節ごとに快適に過ごせる住宅

日本と同じように四季が存在する韓国だからこそ、快適に季節を過ごせる工夫が盛り込まれているのがハノクの特徴です。
夏はマルでゆっくりとした時間を過ごし、冬になるとオンドルで効率良く暖められた室内で過ごせます。
長い期間をかけて培われた先人の知恵がしっかり活かされている住居だからこそ、長い間に渡って親しまれている住居なのです。

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