日本家屋と上座・下座

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日本家屋独自の世界的に見て珍しい特徴の一つが「上座・下座」という考え方です。
すっかり洋風住宅が主流になってしまった現在の住宅様式ではそもそもこの上座・下座という居住空間の中にある意識が消えてしまっており、若い世代の人などはどういう意味なのかすらよくわからない人が多いのではないかと思います。
上座・下座とは日本家屋において客室として機能していた床の間の部屋において、「床の間」部分がある方向にお客様や家の主人を座らせることで上下関係というけじめを示すしきたりのことです。
基本的には上座・下座は日本間を前提に決められる位置関係ですが、目上の方や大切なお客様を通す時には洋室のゲストルームにおいても一定の規則に従った方向や椅子の位置に通すことが礼儀となっています。

なお、床の間について詳しく説明を加えると、いわゆる「床の間」と呼ばれるのは「本床(ほんどこ)」という造りによる形式で、畳の間の入り口から遠い奥の部分に床の間という一段高くなった場所があり、向かって左半分に掛け軸などを吊るすスペースと右半分に袋戸が天井近くと上床近くにつけられており中央にはものを乗せることができる棚が作られていることが特徴です。
一般的な日本家屋のほとんどで採用されているのが「本床」ですが、珍しい住宅形式では「琵琶床」という部屋の奥の突き当りの8割くらいが床の間として木材床となっており脇に小さな袋戸がついているケースや、掛け軸を付けられる壁が洞穴のように部屋の奥まったところにつけられているような「洞床」といった作り方もよくみかけます。

さて、上座と下座の区別の仕方ですがこれは一般的な本床形式の日本間の場合、入り口から入って一番奥の床の間のすぐ手前が最も目上の人を通します。
複数の人が同じ部屋を利用するときには、二番目の人は床の間がある側の上座から斜め前の位置、三番目がその人の対面、そして最も目下の者や家のものは上座と対面にあたる下座に座ります。
洋室づくりの時もこの「入口から最も遠い壁側の席」が上座となるルールは変わりません。
洋室の場合入り口が部屋の隅につけられていることがよくありますが、その場合ドアから最も遠い隅の場所に置かれた椅子が一番目上の人物、二番目がその隣となります。
洋室の場合和室とだいぶ作りが違うのではっきり位置関係が決まっていませんが、わかりづらいときはとりあえず扉から一番遠い場所に通すようにすれば問題はありません。

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